卒FITとは?期限後の売電価格と3つの選択肢を徹底解説

- 卒FITとは、FIT(固定価格買取制度)の10年間の買取期間が終了することを指す。
- 卒FIT後の売電単価は、FIT期間中の半分以下(おおむね7〜9円/kWh前後)に下がる。
- 選択肢は「同じ売電先で継続」「売電先を切り替える」「蓄電池で自家消費」の3つ。
- 電気料金が高い今は、売るより使う(自家消費)方が得になる家庭が増えている。
- 卒FIT対策は契約満了の数カ月前から動くのが望ましい。
卒fitの結論

卒FIT後にまずやるべきは、自分の家が「売る派」か「使う派」かを決めることです。
私はエネルギー会社で再生可能エネルギー部門にいたので、卒FIT直前の相談を何件も受けてきました。正直に言うと、多くの家庭は「とりあえず今のまま」で放置しがちです。でもそれが一番もったいない。
今は電気料金そのものが高い。だから昼間に発電した電気を7円で売るより、買えば30円近くかかる電気を自分で使う方が差額で得をするケースが増えています。
卒FITとは?
卒FITとは、太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)における10年間の買取期間が終了することです。

FITは、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で一定期間買い取る制度。住宅用の太陽光(10kW未満)の場合、その期間は10年間と決められています。
つまり2009年11月にスタートした余剰電力買取制度の第一陣は、2019年11月に最初の卒FITを迎えました。それ以降、毎年多くの家庭が順番に卒FITを迎えています。
「卒FIT=発電できなくなる」ではありません。発電も売電も続けられます。変わるのは買い取ってもらえる単価だけ、と理解してもらえれば十分です。
卒FIT後の売電価格
卒FIT後の売電単価は、FIT期間中の48円や42円といった高単価から、7〜9円/kWh前後まで下がります。

FIT初期に契約した家庭は、1kWhあたり48円や42円という今では考えられない単価でした。これが期間満了とともに、各電力会社・買取事業者が独自に設定する単価へ切り替わります。
単価は買取先によって差があります。大手電力会社の標準的な買取は7〜8円台が中心。新電力や買取専門事業者だと、9〜11円程度を提示するところもあります。
正直、数円の差でも年間で見れば無視できません。年間4,000kWhを売電する家庭なら、1円違うだけで年4,000円。10年で4万円の差です。
| 時期 | 売電単価の目安 |
|---|---|
| FIT期間中(初期契約) | 42〜48円/kWh |
| 卒FIT後(大手電力の標準買取) | 7〜8円/kWh前後 |
| 卒FIT後(新電力・買取事業者) | 9〜11円/kWh前後 |
市場連動型電力買取サービスで売電収入を少しでも高く!

市場連動型の買取サービスは、電力市場(JEPX)の価格に応じて売電単価が変動する仕組みです。
固定単価だと一年中同じ価格ですが、市場連動型は電力が不足して価格が上がる時間帯に高く売れる可能性があります。夏や冬の需要が高い時間に発電を多く回せる家庭なら、固定型より収入が上振れすることがあります。
ただし逆もあります。市場価格が下がれば、固定型より安くなる時間帯も出てくる。私の感覚では、価格変動を気にせず安定を取りたい人には向きません。攻めたい人向けの選択肢です。
卒FIT後にはどんな選択肢がある?
卒FIT後の選択肢は、大きく分けて「同じ売電先で継続」「売電先を切り替える」「蓄電池で自家消費」の3つです。

どれが正解かは、家庭の電気の使い方で変わります。昼間に人がいて電気を使う家か、共働きで昼は誰もいない家か。これだけでも答えが変わってきます。
| 選択肢 | 主なメリット | 主なデメリット | 向いている家庭 |
|---|---|---|---|
| 同じ売電先で継続 | 手続きほぼ不要・手間が最小 | 単価が低いままになりやすい | とにかく手間をかけたくない |
| 売電先を切り替える | 単価を上げられる可能性 | 契約・申し込みの手間がある | 少しでも売電収入を増やしたい |
| 蓄電池で自家消費 | 高い買電を減らせる・停電対策 | 初期費用が高い | 昼間の発電を夜に使いたい |
選択肢1:同じ売電先(会社)のままで売電を続ける
同じ売電先のまま継続するのは、手続きがほぼ不要で一番ラクな選択肢です。

FIT期間が終わると、多くの場合は自動的に各社の卒FITプランへ移行します。何もしなくても売電は続くので、放置でも電気は売れます。
ただし単価は各社の標準買取(7〜8円台)になりやすい。私はこの選択肢を「無難だけど、もったいない」と捉えています。手間を惜しまない人には正直おすすめしません。
選択肢2:売電先を変更して売電を継続する

売電先を切り替えれば、同じ発電量でも売電単価を上げられる可能性があります。
新電力や買取専門事業者の中には、9〜11円程度の単価を提示するところもあります。中には自社の電気を契約することを条件に、上乗せ単価を出すプランもあります。
切り替えの手間は、Webの申し込みフォーム1枚で済むことが多い。10〜20分の作業で年間数千円が変わるなら、私はやる価値があると考えます。
選択肢3:蓄電池を活用して自家消費する
蓄電池を導入すると、昼に発電した電気を夜に使えるため、高い買電を減らせます。
今の電気料金は1kWhあたり30円前後。卒FIT後の売電は7円前後。この差が、自家消費を有利にしている根拠です。昼の余った電気を蓄電池にためて夜に使えば、30円で買うはずだった電気を自前でまかなえます。
加えて停電時のバックアップになる。私が相談を受けるとき、災害の多い地域の方は「単価より安心」で蓄電池を選ぶ人が多い印象です。
ただし正直に言うと、ここはデメリットも大きい。蓄電池の初期費用は安くなく、回収には年数がかかります。だから「電気代の節約だけ」を理由にするなら、慎重に試算してほしい。補助金が使えるかどうかで損益が大きく動きます。
卒FITに関するよくある質問
卒FITで読者からよく聞かれる疑問を、ここでまとめて答えます。

よくある質問
今後の卒FITはどうなる?

今後は「売る」よりも「自家消費する」流れが強まっていきます。
買取単価が低い水準で安定する一方、電気料金は高止まりしている。この構図が続く限り、発電した電気を自宅で使い切る方が経済的に合理的です。
電気自動車を持つ家庭なら、V2H(車のバッテリーを家庭で使う仕組み)で太陽光の電気を車に回す選択も現実的になってきました。蓄電池とV2H、どちらが家庭に合うかは、車の有無と昼間の在宅状況で決まります。
私の見立てでは、卒FIT後は「売電収入を最大化する」発想から「買電を最小化する」発想へ切り替えた家庭が、結果的に得をします。
よくある質問
最後に、卒FIT対策を進めるうえで迷いやすいポイントへ答えます。
